熨斗や表彰状、宛名などのさまざまな文書を、依頼された要望に応じて、美しくかつ読みやすい文字で書き上げるのが筆耕士の仕事です。

 

筆耕士になるには書道の経験をある程度持っていることはもちろん、必要となる技術や知識をしっかり学び、癖のない丁寧な文字を書ける技術を身につけなければなりません。

 

では、筆耕士の需要はどの程度あるのでしょうか。また、筆耕士の仕事で生計を立てることは可能なのでしょうか。

筆耕の需要

コンピュータの急速な普及によって、現在では職場でも家庭でも手書きの文字を書く機会は激減しています。しかしながら、手書きの文字そのものの価値や必要性がなくなったわけではなく、手書きの文字のほうが好まれたり、あるいは手書きでなければならない場面も依然存在します。

 

それが、宛名や各種賞状、席札、熨斗といったもので、こうしたもの全般を依頼者の代理として毛筆やペンなどで、正しくかつ美しく、読みやすく書くのが筆耕で、結婚式や卒業式といった場面では手書きの文字の重みや存在感が不可欠のため、需要は想像以上に多いのが現状です。

筆耕の受注

筆耕士の需要はあるとはいえ、実際に仕事があるかどうかはまた別の問題です。そもそも筆耕士には技術や知識は必要でも、特別な資格は必要ないため、仕事があったとしてもあえて筆耕士に依頼しない場合もあります。

 

例えば卒業証書は、技術を持った書道科や国語科の教員であれば、自ら筆耕することも可能です。

 

このようにどちらかというと筆耕はボランティア的な側面もあり、簡単に継続して仕事として受注できるものでないことは知っておかなければなりません。

筆耕の給料

筆耕士として収入を得るには個人として働くか、あるいは専門の人材派遣会社に登録して、そこから仕事を受注するという方法があります。ただし、筆耕士の仕事は副業的な側面が強く、筆耕専門で社員を雇用している企業は少ないため、実際には派遣かアルバイトとなってしまうのが現状です。

 

このように、筆耕士は正社員として雇用されることはまれで、収入も人によってさまざまなです。

 

このため仕事の単価として考えると、名入れの場合1枚50円〜数百円、ペン書きによるあて名書きでは1枚20〜30円、毛筆の宛名書きで40円?60円、全文の筆耕は数千円〜1万円、これが出張になると日給1万円といったところになります。これをあえて年収に換算するとすれば、おおよそ200〜300万円程度となります。

 

筆耕士の仕事は字を書くことが好きで、技術をもっている人には最適ですが、発注側のコスト意識は高く、薄利多売になりやすいのが現状です。

 

このため、収入面だけを考えると、筆耕によって生計を立てるには、仕事の確保と受注量がカギになってくるといえます。